11月で小学6年生の男の子がひとり、音楽教室を卒業しました。幼稚園に通っていた5歳の頃から小学6年までエレクトーンレッスンを続けてくれた生徒さんです。
遠方からでも毎週送り迎えをしてくださったご両親のサポートもあり、長く頑張る姿をそばで見てこられたことを講師として本当に嬉しく思います。
もちろん辞めてしまうのはとても寂しい気持ちがあります。
ですが、小学生の間、毎年発表会や秋のイベント演奏にも積極的に参加し前向きに頑張る姿を見せてくれました。十分すぎるほど努力してくれましたので、講師としては大きな満足と誇りでいっぱいです。
彼と最初に出会った時は、お母様が最初に習った先生のことで不信感があって悩まれていて、私のことを探しレッスンを任せてくださりました。
そのお母様からとても温かいメッセージをいただきましたので紹介します。
お母様からのメッセージ
息子は5歳の時、前任のエレクトーンの講師のもとで習い始めて1年も経たないうちに、エレクトーンコンクールに出場することになりました。
ペダルもまだ弾けず足も届かない状態で、「ウォーターメロンマン」という難しい曲を勧められ、無理な挑戦となってしまいました。
結果はもちろん入選できずで、驚くことに次のレッスンで講師から「どうしてあんな子を出したのかと周りの先生方から聞かれた!」と叱責されました。
無理に参加させたのは講師自身のはずなのに..と感じ、その時初めて、講師の意図は、教え子を全国大会に出るためだけの選曲であったことを知ったのです。
幼い息子に無理をさせてしまったことが親として情けなく、途方に暮れていました。そこでネットで調べて豊田先生を知り、連絡をとりました。
豊田先生が、息子に優しく寄り添い、あたたかく導いてくださったおかげで、少しずつ音楽への喜びを取り戻すことができました。
レッスンを受けるうちに息子はエレクトーン大好きに変わっていったことを本当に嬉しく思っていました。豊田先生の温かい気持ちに、今も心から感謝の気持ちでいっぱいです。
そして昨年の発表会では、息子自身が「ウォーターメロンマンをリベンジしたい」と選曲したことは私もとても驚きました。小さかった頃の悔しさや心のしこりを、ずっと胸の中に残っていたのだと思います。
それに加えて、昔の心のわだかまりがなくなったからこそ、挑戦できる心になったのだと感じています。
再挑戦を望むその気持ちを、豊田先生は最後まで丁寧に導いてくださいました。
発表会の舞台で弾ききったことは、息子にとってかけがえのない成功体験となり、私にとってもこの上ない安堵と感謝の気持ちで胸がいっぱいになりました。
本当にありがとうございました。
音楽を通して努力した経験は、これからの人生の中で、息子の大きな自信へとつながっていくことと思います。これまでのご指導を心より感謝申し上げます。
これからも、豊田先生のお身体を大事になさって、ご活躍を応援させて頂きます。本当に今までありがとうございました。
このメッセージをいただき胸が熱くなりました。経緯は聞いていましたが 「講師という仕事はちゃんと生徒さんの気持ちに寄り添うことは当たり前」だと思ってた私にとって、そうではない自分のことしか考えていない指導者も世の中にいるという現実を改めて考えさせられました。
星の数ほどある多くの音楽教室から一つを決める大変さにも気づかされました。
たくさんある音楽教室の中から一つを選び、そしてその生徒さんと出会うというのはやはり奇跡のようなご縁です。そのご縁を大切にし、講師は責任を持って指導していかなくてはいけないこと改めて深く心に刻むことができた出来事でした
