7章 2019年グランドピアノとの出会い

1.思いがけない連絡とグランドピアノとの出会い

人生とは不思議なものです。

人生に起こることには、きっとタイミングというものがあるものですね。

私とピアノは紆余曲折ありながら今日まで過ごしてきましたが、ある日、思いがけない連絡が入りました。

それは、長年の知り合いからの連絡でした。

普段からそんなにお会いする方ではなかったので、突然の連絡でビックリしましたが、娘さんが音大ピアノ科を卒業し、卒業後はピアノの仕事はせず、そのまま結婚され東京へ行かれてしまったというのです。

そして、実家にはグランドピアノは置いたまま嫁いで行かれました。

6章でお話ししたよくあるあるのパターンです。

実家に残していっても、そのピアノはだれが弾くわけでもなく、ただご本人さんは「売りたくない。そのまま実家に置いておいてほしい」と希望しているとのこと。 (気持ちはよくわかります)

お母様は、場所も取るし引き取らないなら処分したいと思っておられ、ご本人とお母様の考えも違っていたようです。

月日が流れ 娘さんがお子さんに恵まれ、実家に出産のために里帰りする機会ができましたが、残念ながら彼女の部屋はグランドピアノが陣取っていましたので、子供と自分がゆっくりできる場所がない・・ということになり、ご本人がいよいよグランドピアノを手放すことを決心したというお話しでした。

(学生時代、娘さんはグランドピアノの下に足を突っ込み、布団をひいて寝ていたそうです。これも、あるあるパターンですね(笑))

お母様は、私が音楽の仕事で頑張っていることをとても尊敬してくれている方で、一番に声をかけてくださいました。興味があるならとにかくピアノを見に来てほしいと。

とても大事にしてきたピアノだから、状態はとても良いですよ。とおっしゃるので、ピアノを見に伺いました。

確かに状態もよくキレイで、長年弾いてなくてもきっちり調律もされた状態で音色も大丈夫なピアノでした。

楽器店から購入すれば、1.5~2倍くらいの価格帯になりますので、私には手が出せないけれど直接売買なら買えるかもしれないなと、真剣に検討することにしました。

2.ピアノの購入はどういうところがおすすめ?

余談になりますが、生徒さんたちがピアノ購入するときに、オークションやメルカリ、ジモティなどから知らない方からの直売を、値段が安いからという理由で利用するのはおすすめできません。

ピアノという楽器は、メンテナンスがとても大切なのと、古い年式であってもオーバーホールをしている古い型式のピアノの方が一番オススメなんです。(値段も手ごろで物が良いものがあります)

でもピアノの知識もなく、何を購入して良いかわからない状態だと価格でみてしまいがちですよね。ピアノは価格よりも、いかにメンテされて音色が良く、本体の木がしっかり作られているものかどうかここがポイントになってきます。

そういうピアノであれば、まだ40年~50年は持つでしょうし使用できます。

私の知っているピアノの知識アドバイスはまた別の章で取り上げますね。

その後は、前向きに話しを進めたいから考えさせてほしいということで、商談中にしてもらい帰りました。

というのは、私にとってグランドピアノを購入するということはそう簡単にはいかないことを、過去の経験から知っているからです。

まず、今の防音レッスン室とは別にもうひとつ防音室ありきの話になります。(今の防音室は今のまま残し、グランドピアノを置ける防音室を作ること)

今からたくさんのハードルを越えないことには、グランドピアノを入れることはできないと思っていたからです。でも、長年の夢であるグランドピアノレッスン室。

毎年、Dolche Of Music音楽教室では「ステージに立つこと」、「良い楽器に触れる機会」として、発表会を開催し、多くの生徒さんが熱心にとりくんでくれていますが、生徒さんたちに、もっと良い楽器に触れる機会を作りたい。手が届きそうな良いピアノを見てしまったら、その思いは強くなりました。

そこからまた 防音室設置に向けて行動を起こすことになりました。

3.2つ目の防音レッスン室 

これまで歯がゆくも断念してきたグランドピアノを、今度こそ入れることができるかもしれない。もしかしたら、これが私に巡ってくる最後のチャンスかもしれない。

このタイミングを逃せば、私は一生手元にグランドピアノを置くことはできないかも知れないと思うと、どこまでできるかわからないけれど、精一杯前向きに動いてみようと決心したのが2019年秋のことでした。

決心してからまずやらなければいけないのが、C3クラスのグランドピアノを入れることができるのか?以前の悪夢も蘇りながら、消防法をクリアできる防音室がちゃんと作れるのか?

ここをクリアしなければ、私がいくらほしいと思ってもグランドピアノを入れることはできません。

それから私にとっての課題は、すべてにかかる経費がどれくらいになるのかです。由水の如く金銭的に余裕がある訳ではなく自分が出せる予算も限られている中、防音室工事費が高額というのは切実な問題でした。だからこそ消防設備費が別途かかることについては、とても悩ましく私にとっては諦めなくてはならなくなる原因にさえなりかねませんでした。

2つ目の防音室設置に向けて、以前お世話になった業者さんに来てもらって設計図をつくることから始めました。

以前のこともふまえダメ出しがでないような設計図を打ち合わせします。

設計図が出来上がり、最大の難関である消防設備会社の方に見積もりを出してもらうことになりました。

しかし、やはり前回と同じで、検討したにも関わらずスプリンクラー移設を指摘されました。がっくり。

また、以前ほどではありませんが、スリンクラー移設+増設で35万という見積もりが出てきまして、やはり別途費用をかけるには価格を抑ええる必要はあったので設計図変更をすることになりました。

もう一度設計変更して、これでどうだと新しく設計したもので再度見積もりしてもらいました。これでようやく移設も増設もなしかと思いきや、増設はしなくていいが、移設は必要という結果になり増設分の費用が不要になりました。

ここまでで、3パターンのプランを提出し、ようやく落としどころが見えてきました。

最終的に、スプリンクラー移設工事は19万円の見積もりがでました。あともう1フロア下の階だったら、不要だった費用だと思うと痛手です。

価格に納得したという訳ではありませんが、この金額なら何とかなると受け入れるしかありませんでした。

これでようやく工事に入れると思い、準備をはじめ、工事日程も決まり、生徒さんたちにも告知し、荷物も片づけだした矢先 また問題トラブル発生!!

またまた悪夢の始まりです・・

4.悪夢のような消防法トラブル再び

工事着工1週間をきった段階で、消防設備会社の担当者が訪ねてきました。

この方の訪問で、新たな問題が勃発です。

あんなに打ち合わせしたスプリンクラーとは、また別の消防法によるトラブルです。

「消防署から新たな指摘を受けました」と言われました。

ややこしい話しになるのですが、現在のレッスン室も防音室です。

防音室の中でレッスンをしていると、生徒さんが来られてマンション下の入り口でインターフォンを押したときに、防音室の中にインターフォンの音が聞こえません。

それでは、生徒さんが来ても来たことに気づかず、入り口の自動ドアを解除することができないので、以前の工事の時には、こちらの希望で防音室工事業者さんに部屋の中に音が聞こえるようにしてもらいました。

その工事をしてもらったことにより、レッスンをしていてもインターフォンの音が聞こえ、生徒さんたちの訪問にも問題なく対応ができ、快適に今までレッスンを行なってきました。

このインターフォンの工事は、あくまでわたしが希望してつけたオプションです。

それが今回、グランドピアノ防音レッスン室を作るなら、消防法の範囲として同じ工事が必要と指摘を受けたのです。

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