1.捨てきれぬピアノへの想いと、幼少期に使用していた楽器
完全防音レッスン室ができてからは、音漏れに対しての不安もなくなり、レッスンも快適に行うことができました。
しかし、人間というのは欲深いものでして…一つ夢が叶うと次の目標・夢ができてきます。
私の場合ピアノに対する想いでした。
今、レッスン室で使用しているアップライトピアノに対しては相当な思い入れがあります。
私が幼少期から音楽教室に通うようになり、両親は私のために都度都度 、 楽器を購入してくれました。一番最初は、どなたかから頂いたオルガン(エレクトーンだったような?)が家に来ました。
私が上達したタイミングで、両親はエレクトーンを購入してくれました。
幼児期の私にどれくらいの実力があって、どうだったのかはあまり記憶がありませんが、母の方針で「音楽の基本はピアノだから、エレクトーンを習うならピアノも習いなさい」との考えのもと、物心ついたときには両方習わせてもらっていました。
今考えれば、なんて贅沢で幸せなことだったかと思います。
しかし、小学低学年の頃はさすがにまだ自宅にピアノはなく、エレクトーンでピアノの練習をしていました。
でも、不満は全くありませんでした。
その後、成長し中学に上がる頃から、私の実力?がついたのか進度が進んだのか、ピアノ曲を演奏するのに不都合なことが増えてきました。(鍵盤が足りないとか、1段で弾けないとか)
それでもその当時からピアノは高価なもので、そう簡単に買ってとか欲しいとも言えず、そのまま月日は流れていきました。
高校生になった頃、自分の進路について話しが出てきました。
一体自分はどの道に進んでいくのか?
私自身はピアノ以外に、スポーツも好きでクラブ活動に熱中していたので、将来について何一つ展望はなかったのですが、漠然とヤマハ音楽教室の先生に憧れを持っていて、音楽の道に進んでいく?どうする?といった中で、音楽教室の先生や学校の担任の先生からの勧めとアドバイスで、音楽の道に進むことを決めました。
となると 本格的にピアノの練習をしなくてはいけなくなりましたので、そのタイミングで父がピアノを購入してくれました。
それが今、自宅教室でレッスン時に使っているアップライトピアノです。
2.音大進学と、友人たちのグランドピアノ事情
ピアノというのはとても奥が深い楽器だと思います。
幼少期の頃~成長期の頃、さほど気にもせずピアノだったら満足していましたが、音大に進学したときにビックリしたのが入学と同時に回りの友達がみんなグランドピアノを購入するではありませんか…(実は楽器店との策略かと思います。楽器購入学割制度というのがありそれをみんな使おうとしていました)
友達に 「グランドピアノ買うの?」 と聞かれたこと覚えています。
私は、大学とは別にヤマハでエレクトーンも習っていましたし、エレクトーンも高額な楽器だったのでこれ以上両親に経済的な負担をかけることもないかと思い、グランドピアノ購入に関しては思いとどまり、両親にもグランドピアノが欲しいとか、必要であるとかという話しはしませんでした。
もちろんグランドピアノを置ける置き場所もありませんでした。
その当時は、グランドピアノを購入し、自分の部屋に置いて、スペースがないからグランドピアノの下で寝ているという話しも、よく聞いたことがありました。
それくらい場所も取る大変な楽器です。
しかしそこまでしてもみんな同級生が欲しいのには訳もありました。
当然、ピアノが上手になりたい技術を上げたい、音色も違う、いい楽器で弾きたい、当たり前の向上心だったかと思います。
月日は流れ、私自身が独立し音楽教室を主宰することを決めたときの頃(2008年)の話しになりますが、それまでも、アップライトピアノを引っ越しの度に連れまわしてきました。
逆に、グランドピアノを購入していなくてよかったように思います。
アップライトピアノだから、ずっと一緒に移動してこられたと思います。
例えば私が知りうるところで音大の同級生たちが悩んだのが、結婚を機に実家のグランドピアノをどうするのかということです。
実家の時は何とか置けたものが、結婚をして都会のマンションにグランドピアノを持って行けず、実家におきっぱなし、もしくは処分してアップライトにするとか・・みんなそれぞれに悩んだことかと思います。
私の音大時代の一番仲が良かった友達も、結婚を機に都会のマンションにグランドピアノを持ってきていましたが、その彼女は音楽の道に進まなかったので、一部屋がグランドピアノで占拠され、両親に購入してもらった大切なピアノなんで処分もできずずっと悩んでいました。
私もそれなりに音楽人生を歩んではきましたが、引っ越しの回数も多かったので、基本アップライトピアノでよかったと思っています。
3.音楽教室の設立と、ピアノの買い替え検討
時が流れ2008年、いよいよ自宅音楽教室をとなった時、現代の事情から気軽にピアノを弾ける環境ではない生徒さんが多い中、生のピアノを弾ける環境はとても大切だなあと感じるようになりました。
「いいピアノ、いい音環境で弾ける」ことが、音楽教室の役目であるとも考えるようになりました。
音楽教室を立ち上げるにあたってグランドピアノ納入を計画しましたが、1章2章のようなトラブルに見舞われ、一度はグランドピアノをいれることを諦めたときから、アップライトピアノ購入、もしくはアップライトピアノの買い替えを検討するようになりました。
2017年頃、アップライトピアノの買い替え契約寸前までいきました。
しかし、どうしても今のアップライトピアノを手放す決断ができませんでした。
- ずっと弾いてきた想い出と、父が購入してくれた大切なピアノであること
- 長年使用してきたとはいえ、ピアノの音、癖、全てをわたしが一番熟知していること
- 調律はもちろん定期的に行いピアノのメンテはしてきてアクションのフエルトも全交換し、中もオーバーホールをしキレイに保っているため、古いピアノであっても不満があまりない
- お金をかけて新しいアップライトピアノを入れたときのピアノの音色に対する満足度が低かった時に後悔するのでは?という不安がぬぐえない
という理由からもう、買い換えるとしても少し時間をおいてみようと思いとどまりました。
この決断が結果的には、2019年のグランドピアノ納入することができた流れだったと思っています。 振り返ってみて、この時にアップライトピアノを購入しなくて良かったと思っています。