これまでの記事
1章 音楽教室立ち上げ&ピアノレッスン防音室の見積もり
2章 自宅に楽器を置く場合の簡易防音について
1.今と昔のピアノ事情
本題から離れますが、「簡易防音」というのは、生徒のみなさんのご自宅でもできることなのでご紹介します。
ピアノやエレクトーンを弾くと、音漏れというのはとても難しい課題ですよね。
私が子供のころでも、今のように防音室というものはあったのでしょうが、一般的ではありませんでしたので、あちこちのお宅からピアノの音はよく聞こえ来ました。
自分も弾いていましたので、早朝や深夜の激しい演奏でもない限り騒音という感覚はなく、「ピアノを弾いているんだなあ」と思って聞き流す程度でした。
今思うと、ご近所さんにどれだけご迷惑をかけていたか…みなさんがお互い様の精神で我慢してくれていたのかなあと思います。ご近所さんには感謝しかありません。
2.ピアノはどれくらいの音がするの?
みなさんは、ピアノがどれくらいの音を出しているかご存知ですか?
電子ピアノやエレクトーンはヘッドフォンをしたり、音量を調整ができますが、アップライトピアノやグランドピアノは、消音ユニットをつけないと音を消すことはできません。
ピアノは空気を伝わり、床や壁を伝わって音が外に出ていきます。
アップライトピアノは、背面から音が出ますので、マンションなどで隣接する家の壁に背面を向けると、直接音をお届けしてしまうことになります(汗)
床を伝って、下の階にも響きます。
また、「弱音ペダル(マフラーペダル)」を利用することで、2分の1から3分の1程度に抑えることができます。ただ、建物の構造や弾く曲、近隣との密接の程度によっては、一部音が漏れる可能性があるので、絶対大丈夫と安心してはいけません。
簡単に騒音の例と、ピアノの音について紹介しますね。
住居用地域での騒音基準は、昼間55dB以下、夜間45dB以下です。この範囲に入る日常生活の音は、テレビやラジオ、トイレを流す音程度です。
一方、ピアノの音は90~110dB です。これが日常の騒音でどれくらいかというと、「地下鉄の音」くらいで、極めてうるさいに入る部類です。
この音がどれくらい隣の家に漏れているかというと、
住宅の構造 | 隣の部屋に聴こえる音量 | 音量の近い生活環境音 |
マンション(RC造) (遮音性能D値=50) | 50dB | トイレ、エアコンの室外機 |
木造住宅 (遮音性能D値=35) | 65dB | 地下鉄の車内 |
参考 https://www.kanaderoom.jp/mag/instrument/piano/
※楽器・生活音の音量は演奏者、演奏環境、測定方法などの諸条件によって変わります。
※D値とは、住宅が備えている遮音性能の単位です。例えば、D-30の部屋で100デシベル(dB)の音を鳴らした場合、隣の部屋に聞こえる音量は「100(音量) – 30(遮音される音量) = 70(実際に隣の部屋で聞こえる音量)」で70デシベル(dB)となります。
激しい曲だったり強く打鍵すると、騒音レベルで漏れていると考えて間違いありません。
3.簡易防音の方法
さて、まだ音楽教室をしていない頃の自宅は防音室ではなく、普通の洋室に入居前に「①防音用カーペット」を敷き、カーテンは、「②防音カーテン」を購入。
ピアノの下には、「③振動防止用のインシュレーター」、ピアノのうしろには、「④分厚い布」を全面に貼り、音が抜けていくのを防ぎました。(これは音の響き過ぎの軽減にもなります)
後に布の外側にも「⑤吸音マット」もつけました。
※③~⑤の設置は、必ずピアノの移動と調律が必要になるので、ピアノ専門店に移動を依頼してください。
エレクトーンの下には防震防音マットを敷いて、音量調整やヘッドフォンを活用しました。演奏するときやレッスン時は、防音カーテンを敷き、部屋を完全に締め切って音を出しました。
これで音漏れを抑えられた訳ではありませんが、何もしないよりは全然マシだったかと思います。プラス、演奏の時間帯を配慮することで、一度もクレームはありませんでした。
少し努力するだけでも効果はあると思いますので、できることから行ってみて下さい。
またご近所さんとのコミュニケーションも大切です。
すべてがそうと言うわけではありませんが、コミュニケーションがとれていれば、トラブルになったときも大事にならずに済むかもしれませんね。
4.消音ユニットについて
ピアノの消音ユニットは、今でも知らない方(生徒さん)が多いです。これは、アップライトピアノにつけている消音ユニットです。
今の時代、楽器店へ行くと近隣への騒音配慮から電子ピアノやハイブリットピアノを勧められますが、アコースティツクピアノに消音ユニットを取り付けると夜でもヘッドホンに練習できるのでお勧めです。どんな感じに聞こえるのか聞きたい方は、レッスン時に声かけてください。
消音ユニットは、よほど古い型のピアノでない限り、すべてのピアノに後付でつけることができます。消音ユニットをつけると、ピアノからは音がでなくなり、弦を叩く寸前でストッパーがかかります。
その代わり、ヘッドフォンをつけて予めプログラムされた電子音をヘッドフォン側から流すことができるのです。生のピアノの音とは違いますが、ピアノの打鍵タッチはそのままで練習することができるのがメリットです。
私の場合、音量を落とすために消音ユニットにスピーカーを取り付けて、夜に練習するときはスピーカーから音をだして練習していました。レッスンでは使用していません。
消音ユニットは、ピアノを扱っている楽器店に行くと、取り付けの依頼をすることができます。設置には安いものでも数万円の本体代と設置費数万円がかかります。
私は、消音ユニットが出た初めの頃に購入したので設置費込みで20万くらいしましたが、今は10万以下 (KORG、ローランド) で設置できます。ヤマハは少しお高いです。
今ならインターネットで設置の予約もできるかもしれませんね。
https://www.korg.com/jp/products/hybridpianos/khp_300/index.php